素晴らしいアドバイス

メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。その魚はなんとも生きがいい。

それを見たアメリカ人旅行者は、
「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」と尋ねた。

すると漁師は
「そんなに長い時間じゃないよ」と答えた。

旅行者は、
「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」と言うと、

漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。
「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」
と旅行者が聞くと、

漁師は、
「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、女房とシエスタして。
夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって… ああ、これでもう一日終わりだね」

すると旅行者は、まじめな顔で漁師に向かってこう言った。
「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、きみにアドバイスしよう。
いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、漁をするべきだ。それであまった魚は売る。
お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。
その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。
そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。
その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキシコシティに引っ越し、ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。
きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

漁師は尋ねた。
「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」
「20年、いやおそらく25年でそこまでいくね」
「それからどうなるの」
「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」
と旅行者はにんまりと笑い、
「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」
「それで?」
「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、日が高くなるまでゆっくり寝て日中は釣りをしたり、子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、歌をうたって過ごすんだ。どうだい。すばらしいだろう。」

1万人の脳画像でわかった40歳からの脳の鍛え方

マンネリ脳、省エネ脳にならないためにはどうすればいいのか。

私はMRI(磁気共鳴画像法)を通じて、胎児から100歳を超えるお年寄りまで、1万人以上の脳を診てきました。

その経験から見えてきたのは、「脳の使い方を脳画像から読み取れば、その人の生き方がわかる」ということです。

たとえば、意思決定を常に行わなければならない経営者の脳を見ると、意思決定をする脳の部位が発達していることがわかります。

(写真1 MRIによる脳の断面図)

写真1のMRI画像を見てください。これは脳の断面図で、黒く太い木の枝のように見えるのが、発達した神経細胞から伸びる神経線維の集まりで「白質」と呼ばれます。この神経細胞同士を結び付ける「枝ぶり」こそ脳の個性です。

脳は死ぬまで成長する

もう一つわかったことは、「脳は死ぬまで成長する」ということです。かつて脳科学は「脳は3歳で決まる」といっていました。しかし、それは間違いでした。確かに1歳頃から脳の神経細胞は減っていきますが、いくつになっても脳には使われていない未発達な神経細胞が山ほど眠っています。使い方次第で、脳は一生、変化し、成長します。

たとえば、80歳でドラムを始めた男性の社長さんがいらっしゃいます。写真2の右の枝ぶり画像は、80歳のときの脳ですが、ドラムを始めて1年後の左の脳画像と比べてみてください。薄く表出されていた手足の動きを担う部位が、黒くなり生き生きと成長しています。これは小学生の脳の一年の成長に匹敵します。

(写真2 80歳男性の脳(右)とドラムを始めて1年後の脳(左))

でも、使わないと脳は衰えます。特に50代からは脳の老化力がアップするので、何もしないと急速に老化していきます。ですから、40代になったら、現在の脳の状態を知り、自覚的に脳を鍛えてほしいのです。それが50代以降の脳の老化を防ぎ、脳の持続的成長を促します。40代が運命の分かれ道なのです。

では、どのように脳を鍛えればいいのか。最も重要なことは、使っていない脳の部位を使うことです。

(図1 8つの脳番地の位置)

私は機能別に脳を「思考系」「運動系」「視覚系」「感情系」「理解系」「聴覚系」「伝達系」「記憶系」の8つに分け、それぞれを「○○系脳番地」と呼んでいます(それぞれが脳のどの部分にあたるのかは、図1を見てください)。

あなたがいつも使っている脳番地は、これからも使われる可能性が高い。しかし、脳は同じ使い方を続けると、楽をしようとして、省エネを覚えます。1時間かかったことが、30分でできるようになります。若いころは、これは「進歩」でしたが、50代に入ると、この脳の省エネ化は「退化」を招きます。

一方、使っていない脳番地は、あなたがこれまでの人生で、あまり使ってこなかった脳番地ですから、50代からは急速に老化していくでしょう。だからこそ、先ほども述べたように40代のうちから、自分が使っていない脳番地を鍛える習慣を身につけることが大切なのです。

しかし、40代の特に男性は、脳を鍛えるどころか、脳の使い方がマンネリ化し、著しい省エネ脳になりがちです。

40代の女性は、仕事をしながら、家事や育児をし、地域社会でも様々な関係を築いていきます。だから、様々な脳番地が開発されて、マンネリ脳になりにくい。

その間、男性は何をしているかといえば、机に座って、パソコンに向かっているだけ。給料が上がり、地位が上がると、現場を離れて、現状に満足してしまい、脳が衰える。この悪循環にはまってはいけません。

さて、40代で使っていない脳番地を使いはじめるとどうなるか。その脳番地は急速に成長します。つまり、これまで使っていない脳番地は、あなたの脳の「伸び代」なのです。

では、使っていない脳番地を使うにはどうすればいいのか。その答えはあなたにとって、できるだけ「新しい」ことをすることです。それは、これまで使っていた脳番地の省エネ化を防止するのにも役立ちます。

使っていない脳番地に「新しい」刺激を与える。それが脳を鍛える最良の方法です。

それでは、脳番地ごとに、どんな人がその番地を使っていないのか、使っていないとどんな症状が出るのか、そして、その番地に「新しい」刺激を与えるにはどうすればいいのか、を順番に説明していきましょう。

 

理解系は右脳を使おう

まず、最初は「理解系脳番地」です。この脳番地は私たちが目で見たり、耳で聴いたりした情報を統合し、理解する役割を果たしています。

(写真3 現代人の典型的な脳)

「理解系脳番地」は脳の後ろの方に位置しているのですが、写真3を見てください。右の後ろ部分の枝ぶりがほとんどありません。これは現代人によく見られる脳です。「理解系脳番地」は右脳、左脳両方にまたがっているのですが、右脳で「非言語情報」、左脳で「言語情報」を扱っています。ですから、写真3が物語るのは、現代人は「言語情報」ばかり処理していて、「非言語情報」をほとんど扱っていない、ということです。

具体的にいえば、新聞、雑誌、スマホなどで大量の文字情報に触れているけれども、生の現実を見ていない。かつては風が吹いてきて、暗くなってきたら、右脳の「理解系脳番地」が「非言語情報」を統合して、「雨が近いぞ」と気づけましたが、現代人は天気予報を見ていなかったら、雨が降ることに気づけない。

このような脳の使い方をしていると現実感が希薄になります。また、人の表情を読んだり、場の空気を感じるのが、下手になります。どれも言葉では表されないからです。空間認識能力も下がるので、街で人とぶつかったり、つまずいたりすることが多くなります。整理整頓ができなくなるのも、典型的な症状です。

ですから、ここでは特に右脳の「理解系脳番地」を鍛える方法を紹介しておきましょう。

まず、部屋の整理整頓と模様替えです。空間に対する理解力を高めるためです。電車内の見知らぬ人の表情から、その人の気持ちや背景を想像するのもいいでしょう。とにかく文字情報から離れる時間を作って、自然を眺めることです。

 

料理、楽器でも運動系は伸びる

次は「運動系脳番地」です。文字通り、体を動かすときに使う脳番地です。ほとんどの現代人はデスクワークが多く、運動不足ですから、この脳番地もあまり使われていません。

食事中に食べ物をこぼす、外出先ですぐに腰を下ろしたくなる、服を脱いだら脱ぎっぱなし、といった症状が出たら、要注意です。

「運動系脳番地」を鍛えるには、スポーツももちろんいいのですが、手軽なのは、歩くことです。40代なら、1日1万歩は歩きましょう。

料理やカラオケ、楽器演奏、日記や絵をかくこともいい方法です。手や口を使うと、この脳番地がよくはたらくからです。歌いながら料理をする、など2つのことを組み合せて、同時にするとより効果的です。

楽器演奏は「運動系」「視覚系」「聴覚系」と複数の脳番地を同時に使い、脳番地同士の連携が深まるので、特におすすめです。

このように「運動系脳番地」は、他の脳番地と連携して使われることが多いので、あらゆる脳番地を統合的に成長させたいときには、まず「運動系脳番地」を鍛えてください。

 

視覚系には自然からの刺激を

3番目は「視覚系脳番地」です。目から入った視覚情報を処理する脳番地です。ほとんどが後頭部にあり、右脳部分が「非言語情報」を、左脳部分が「言語情報」を処理しています。「理解系脳番地」と同様、現代人の「視覚系脳番地」は左脳部分ばかりが使われる傾向があります。

この脳番地が衰えると、本を読むのが億劫になった、車窓から風景を見ていると疲れる、雑踏で人とよくぶつかる、といった症状が出てきます。また、「視覚系脳番地」で「非言語情報」を処理する右脳部分が衰えることは、周囲の状況の変化が察知できない、ということですから、感情の起伏が乏しくなり、生活が無味乾燥になったり、危機的状況を感じられなくなります。

ですから、「視覚系脳番地」を鍛えるために、都市で生活していても、ぜひ朝日や夕日、月の満ち欠け、星の位置、天候、風景など、自然の変化を意識的に見てください。

旅行に出て、新しい風景に出合うのも効果的です。特定の文字や数字など、何かテーマを決めて、車窓からの風景を見るのもいいでしょう。

また、美術館で芸術作品を見ることも、「非言語情報」を扱う視覚系の右脳部分を刺激します。

 

聴覚系はラジオを聴こう

4番目は「聴覚系脳番地」です。耳から入った聴覚情報を処理する脳番地です。

技術者や職人など、人と会話しなくとも一人で仕事が進められる人は、この脳番地が弱くなりがちです。

聞き間違いが増えた、話をよく訊き返す、気がつくと一方的に話をしている、人が話しているときに自分の話をかぶせる、といった症状が出てきたら、この脳番地が衰えている可能性があります。

「聴覚系脳番地」を鍛えるには、とにかく意識的に注意深く耳を使うことです。ラジオを聴きながら寝る。会議の速記録を作成する。自然の音に耳を澄ませる。といった方法が有効です。ラジオを聴きながら、書き取る。本を音読しながら、手書きで写す。いずれも「運動系脳番地」や「視覚系脳番地」との連携が強化されるので、おすすめです。

 

新しい回路が思考系を変える

5番目は「思考系脳番地」です。この脳番地は前頭葉にあり、思考、意欲、創造、計画といった高度な機能を担っています。また、五感を司る脳番地とも密接な関係を持ち、感情や欲望のコントロールもここで行っています。まさに「脳の司令塔」といえます。

自発的に何かを計画し、実行に移し、様々な判断や決断を下しながら、新たな何かを創造していく。そのような機会が少ない人は、この脳番地をあまり使っていない可能性があります。決められたルーチンワークを黙々とこなしている人や指示待ち族で仕事の計画を自分で立て、自分の判断で進めることが少ない人は、要注意です。

この脳番地が衰えると、判断力が低下します。買い物に行くと優柔不断で決めるのに時間がかかったり、2つのことが同時にこなせなかったりします。

また、集中力が衰えるので、計画を立てたり、新しいことに挑戦する意欲が減退します。何をするにも「面倒くさい」と思いはじめたら、危険信号です。

「思考系脳番地」を鍛えるには、脳に負荷をかける方法が有効です。たとえば、じゃんけんなどのゲームにわざと負けるようにする。「絶対ノー残業デー」を作る。休日の行動計画を他人に決めてもらう。自分の好きな定番メニューを10日間やめてみる、などです。

これらの方法の共通点は、自分の従来の思考や行動に何らかの「拘束」や「枠組」を課すことで、新しい思考や行動を促すことです。

わざとゲームに負けるという「枠組」を与えるだけで、新しい思考回路を使わなければならなくなります。「絶対ノー残業デー」も仕事の効率を上げるためにいつもと異なる工夫を要求します。他人が決めた「休日の行動計画」は、予想外の場所や行動へとあなたを誘ってくれるでしょう。定番メニューを断てば、今まで頼まなかったメニューとの出合いが待っています。

とにかく「新しい」ことに挑戦することが、「思考系脳番地」を目覚めさせます。だから、40代の特に男性には、料理や新しい趣味にチャレンジしてほしい。それが新しい思考回路を生み出し、「思考系脳番地」をその最も重要な仕事である、新しい意欲と創造へと向かわせます。

 

感情系を満たす「ご褒美デー」

6番目は「感情系脳番地」です。喜怒哀楽を担い、「思考系脳番地」と密接に関係しています。

「感情系脳番地」は歳を重ねても衰えにくいのが特徴なのですが、人と会わないでいい仕事、IT系エンジニアなど、パソコンと一日中向き合っているような仕事の人は、この脳番地が衰えている可能性が高い。

最近、ドキドキ、ワクワクすることがないな、人が話すことに共感しないな、と思ったら、要注意です。

「感情系脳番地」を鍛えたかったら、とにかく人に会うことです。人と会って、コミュニケーションを取り、感情を共有する機会を増やしましょう。平坦になってしまった感情に起伏を与えるのです。

しかし、逆に感情に起伏がありすぎて、感情を暴走させてしまうのも、「感情系脳番地」が衰えている証拠です。そこで40代男性には、何か目標を設定し、それを達成できたら、自分にプレゼントをする「ご褒美(ほうび)デー」を提案します。自分の欲求を明確にして、満たしてあげることは、感情を豊かに経験することにつながり、感情が暴走するのを防ぎます。

 

伝達系は日記を書こう

7番目は「伝達系脳番地」です。誰かに何かを伝えるときにはたらく脳番地です。

当然ですが、人と喋らない人は、この脳番地を使っていません。ですから、農業や漁業に従事していて、朝から晩まで一人で黙々と作業をやっているような人は、この脳番地が弱りやすい。

人と会話するのが面倒になり、手紙やメールを書くのが億劫になったら、危ない。自分の気持ちをうまく表現できない、怒っていないのに、「なぜ怒ってるの?」と訊かれる人も、この脳番地が劣化している可能性があります。

「伝達系脳番地」を鍛えるいい方法は、日記を書くことです。その際には、ちゃんとした日記を書こうと気負わないでください。何でもいいから、その日あったことを記録するだけで十分です。

 

記憶系にいいのは思い出すこと

最後は「記憶系脳番地」です。文字通り、記憶する脳番地です。

この脳番地が衰える人は、せきたてられるように仕事をして、過去を振り返って、思い出すことをしない人です。最も典型的な職業は、週刊誌記者です。先週何を取材して、何を書いたか思い返さないし、憶えていない。

この脳番地が衰えたときの症状は、ずばり記憶力の低下です。

では、「記憶系脳番地」を鍛えるにはどうすればいいのか。それは日記や手帳を一週間に一度ぐらいは見直して、自分が何をやったのか思い出すことです。要らないものを捨てる「断捨離」も有効です。ものを見ながら、過去を思い出し、それが必要か不要か判断しなければならないからです。

 

自分の時間を作ろう

最後に40代男性向けにとっておきのアドバイスを送りましょう。

それは1日10分でも1人になる時間を持つこと。会社に着く前でも、家に帰る前でもかまいません。

40代にもなると、家に帰れば、妻と子供がいて、家事や育児をしなければならず、会社では責任ある仕事が待っています。自分の意思とは別に環境が脳の使い方を常に決めてしまいます。その要求に24時間応えていると、マンネリ脳、省エネ脳になっていくのは目に見えています。

まず、自由な時間を10分でもいいから作ってください。そして、その時間を使って、自分の脳の状態をチェックし、マンネリ脳にならないためにはどうすればいいのかを考えてください。そして、新しい脳の使い方を発見してください。その時間を新しい脳の使い方に充てるのもいいでしょう。健闘を祈っています。

 

加藤俊徳

https://www.nonogakko.com/company/kato.html

今も心にある、実業家だった祖父の教え

私が今も心に留めている祖父の言葉があります。

派遣事業をしていたときのことです。スタッフが派遣先で悪さをして、会社の信用を落としてしまった出来事がありました。祖父に言えばなぐさめてくれるかなと思ったのですが、反対に「お前に徳が足りないから、そういうことになるのだ」と怒られました。

「臭いものには蝿がたかる。いいものには蝶が来る。お前がいいものにならないと、結局、事業はうまくいかない」と言われまして。徳を積み、人間としての器を広げていかないといい会社運営はできないのだな、と痛感しました。

 

小間裕康
1977年兵庫県生まれ。甲南大学法学部在学中の1999年コマエンタープライズを起業、家電メーカー向けビジネス・プロセス・アウトソーシングなどを展開、年商20億円まで成長させる。2009年京都大学大学院経営管理教育部に入学。10年GLM設立、14年日本初の量産EVスポーツカーの国内認証を取得、15年「トミーカイラZZ」量産開始。

 

 

天皇陛下ビデオメッセージ全文

戦後70年という大きな節目を過ぎ、2年後には、平成30年を迎えます。

私も80を越え、体力の面などから様々な制約を覚えることもあり、ここ数年、天皇としての自らの歩みを振り返るとともに、この先の自分の在り方や務めにつき、思いを致すようになりました。

本日は、社会の高齢化が進む中、天皇もまた高齢となった場合、どのような在り方が望ましいか、天皇という立場上、現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら、私が個人として、これまでに考えて来たことを話したいと思います。

即位以来、私は国事行為を行うと共に、日本国憲法下で象徴と位置づけられた天皇の望ましい在り方を、日々模索しつつ過ごして来ました。伝統の継承者として、これを守り続ける責任に深く思いを致し、更に日々新たになる日本と世界の中にあって、日本の皇室が、いかに伝統を現代に生かし、いきいきとして社会に内在し、人々の期待に応えていくかを考えつつ、今日に至っています。

そのような中、何年か前のことになりますが、2度の外科手術を受け、加えて高齢による体力の低下を覚えるようになった頃から、これから先、従来のように重い務めを果たすことが困難になった場合、どのように身を処していくことが、国にとり、国民にとり、また、私のあとを歩む皇族にとり良いことであるかにつき、考えるようになりました。既に80を越え、幸いに健康であるとは申せ、次第に進む身体の衰えを考慮する時、これまでのように、全身全霊をもって象徴の務めを果たしていくことが、難しくなるのではないかと案じています。

私が天皇の位についてから、ほぼ28年、この間私は、我が国における多くの喜びの時、また悲しみの時を、人々と共に過ごして来ました。私はこれまで天皇の務めとして、何よりもまず国民の安寧と幸せを祈ることを大切に考えて来ましたが、同時に事にあたっては、時として人々の傍らに立ち、その声に耳を傾け、思いに寄り添うことも大切なことと考えて来ました。天皇が象徴であると共に、国民統合の象徴としての役割を果たすためには、天皇が国民に、天皇という象徴の立場への理解を求めると共に、天皇もまた、自らのありように深く心し、国民に対する理解を深め、常に国民と共にある自覚を自らの内に育てる必要を感じて来ました。こうした意味において、日本の各地、とりわけ遠隔の地や島々への旅も、私は天皇の象徴的行為として、大切なものと感じて来ました。皇太子の時代も含め、これまで私が皇后と共に行って来たほぼ全国に及ぶ旅は、国内のどこにおいても、その地域を愛し、その共同体を地道に支える市井の人々のあることを私に認識させ、私がこの認識をもって、天皇として大切な、国民を思い、国民のために祈るという務めを、人々への深い信頼と敬愛をもってなし得たことは、幸せなことでした。

天皇の高齢化に伴う対処の仕方が、国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思われます。また、天皇が未成年であったり、重病などによりその機能を果たし得なくなった場合には、天皇の行為を代行する摂政を置くことも考えられます。しかし、この場合も、天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません。

天皇が健康を損ない、深刻な状態に立ち至った場合、これまでにも見られたように、社会が停滞し、国民の暮らしにも様々な影響が及ぶことが懸念されます。更にこれまでの皇室のしきたりとして、天皇の終焉(しゅうえん)に当たっては、重い殯(もがり)の行事が連日ほぼ2カ月にわたって続き、その後喪儀に関連する行事が、1年間続きます。その様々な行事と、新時代に関わる諸行事が同時に進行することから、行事に関わる人々、とりわけ残される家族は、非常に厳しい状況下に置かれざるを得ません。こうした事態を避けることはできないものだろうかとの思いが、胸に去来することもあります。

始めにも述べましたように、憲法の下、天皇は国政に関する権能を有しません。そうした中で、このたび我が国の長い天皇の歴史を改めて振り返りつつ、これからも皇室がどのような時にも国民と共にあり、相たずさえてこの国の未来を築いていけるよう、そして象徴天皇の務めが常に途切れることなく、安定的に続いていくことをひとえに念じ、ここに私の気持ちをお話しいたしました。

国民の理解を得られることを、切に願っています。

江副浩正「マネージャーに贈る20章」

<第1章>

マネジメントの才能は、幸いにも音楽や絵画とは違って、生まれながらのものではない。経営の才は、後天的に習得するものである。それも99%意欲と努力の産物である。

その証拠に、10代の優れた音楽家はいても、20代の優れた経営者はいない。

<第2章>

マネージャーに要求される仕事には、際限がない。より高い効果を上げるマネージャーは、要求されている様々な仕事のうち、一番大事なことから手がける。仕事を受付順に勧めるような人は、優れたマネージャーとは言えない。

目の前にある仕事の中で、一番大切なものは何かをいつも考えていなければならない。

<第3章>

社内にしか人間関係を持たないマネージャーがいる。こういう人が会社を動かそうとするようでは、会社はいずれ滅んでゆく。

会社もまた、社会の一組織体であるから、社外の人々と良い関係を保つことが不可欠である。

<第4章>

“上の方で決まったこと”をそのままメンバーに事務的に伝えるマネージャーは、メンバーからの信頼と支持は得られない。経営の方針や義務のルールは、マネージャー自身がまず自らのものとしなければならない。そのためには、疑問などがあれば十分解決しておくこと。

その上で、自らの方針、考え方を交えて、メンバーに向かうことが大切である。

<第5章>

メンバーをよく理解しようとすることもマネージャーにとって大切なことである。それよりもっと大切なことは、マネージャー自身の方針、考え方、人格までもメンバーに理解させることである。マネージャーとメンバーとのよい人間関係は、深い相互理解から生まれる。

<第6章>

優れたマネージャーは、人に協力を求める時、”彼との個人的な親しさ”によってではなく、”仕事を良いものにするためには誰に頼むのがベストであるか”という観点からこれを行う。

誰とでも一緒に仕事ができるようにならなければならない。

<第7章>

マネジメントに携わる人は、2つ以上のことを同時に進められる人でなければならない。ひとつの仕事に熱中している時は、他の仕事に手がつかない、といったタイプの人はスペシャリスト向きで、マネージャーには向かない。

<第8章>

「1,000人分のパーティの招待者宛名を書き上げ、発送するのに、ひとりでやれば10日は必要。10人でやれば何日かかるか?」算数では答えは1日だが、経営の現場では10人でやっても10日かかることもある。

人が増える時には、手順を変えるなり、仕事のしくみを変えてゆく必要がある。

<第9章>

会議の目的がわからなくて、会議の能率を下げる人がいる。この会議を何のために開いているのか、自分の役割は何か、どのように勧めれば会議が効率的になるか、マネージャーはこれらのことをよく把握する必要がある。

会議の効率を上げる人と、下げる人では、マネジメントにおいて大きな開きがある。

<第10章>

マネージャーの任務は高い業績を上げることにある。そのために、メンバーを動かす権限が与えられている。仕事を離れたところでマネージャーが権限を行使することは許されない。

<第11章>

経営者が数字に弱ければ、会社は潰れる。仕事への熱意は十分あっても、数字に弱い人は

優れたマネージャーとは言えない。

<第12章>

マネージャーには、コンピュータという有能な部下を使いこなす能力が必要である。コンピュータを駆使して仕事を効率的にすすめるためには、コンピュータに関する知識・技能を自らのものとし、同時に日常的に自分自身の手で動かしていなければならない。

コンピュータを使えない人は、いずれマネジメントの一員にとどまれなくなる。

<第13章>

与えられた時間は、誰にとっても同じだ。人が大きな成果をあげるか否かは、その人がいかに時間を有効に使うかにかかっている。

経営者は、効果的な時間の遣い方を知っていなければならない。

<第14章>

「政治家には嘘が許されるが、経営者には嘘は許されない」とは水野重雄氏の言葉である。経済活動はお互いの信頼関係が基盤となっている。1度不渡りを出した経営者が再起することはまれである。

言葉や数字に真実味が感じられないマネージャーは、周囲から信頼を得られない。

<第15章>

自分のメンバーを管理するにはさして苦労はしないが、上長にはどのように対処すればよいのか、と苦労する管理者が多い。しかし、この問題は自ら積極的に働きかけることで解決して欲しい。相互理解を深めること。

そして上長の強みはそれを活かし、弱みはカバーしてゆくことによって仕事はなめらかにすすんでゆく。

<第16章>

“忙しすぎて考えるための時間がない”、”マネージャーはもっと思索に時間を割くべきである”と主張する人がいる。しかし、仕事と思索を分けて考えることは、あまり意味がない。

なぜなら、仕事を前に進めるアイディアや活力の源泉は仕事そのものの中にあるからである。

<第17章>

業績と成長は不可分であって、高い業績なくしてマネージャーの成長はありえない。

マネージャー自身の高いモチベーションが業績を生み、成長を実現するのである。

<第18章>

“もっと期限が先ならば”、”もっと人がいれば”、”もっと予算がおおければ・・・いい仕事ができるのに”と嘆くマネージャーもいる。マネジメントとは、限られたヒト・モノ・カネ・そしてタイムをやりくりし、それぞれの最大活用を図ることである。

経営の成果は常に、それに投入された経営資源(ヒト・モノ・カネ・タイムなど)の量との関係で計らねばならない。

<第19章>

我社は永遠の発展を願っているが、それは後継者たちの力のいかんにかかっている。後継者の育成も、マネージャーの大切な仕事である。自分が脅威を感じるほどの部下を持つマネージャーは幸せである。

<第20章>

仕事の上では、”したいこと”、”できること”、”なすべきこと”の3つのうち、どれを優先させて行動すべきであろうか。”できること”から手をつけるのは堅実なやり方ではあるが、それのみでは大きな発展ははかれない。

“したいこと”ばかりでも問題だ。将来のため、メンバーに今何をすべきかを見出させ、それが例え苦手なこと、難しいことであっても挑戦的に取り組んでゆく風土をつくることがマネージャーには求められている。

壺は満杯か

ある大学でこんな授業があったという。
「クイズの時間だ」教授はそう言って、大きな壺を取り出し教壇に置いた。
その壺に、彼は一つ一つ岩を詰めた。壺がいっぱいになるまで岩を詰めて、彼は学生に聞いた。
「この壺は満杯か?」教室中の学生が「はい」と答えた。
「本当に?」そう言いながら教授は、教壇の下からバケツいっぱいの砂利をとり出した。
そしてじゃりを壺の中に流し込み、壺を振りながら、岩と岩の間を砂利で埋めていく。
そしてもう一度聞いた。
「この壺は満杯か?」学生は答えられない。
一人の生徒が「多分違うだろう」と答えた。

教授は「そうだ」と笑い、今度は教壇の陰から砂の入ったバケツを取り出した。
それを岩と砂利の隙間に流し込んだ後、三度目の質問を投げかけた。
「この壺はこれでいっぱいになったか?」
学生は声を揃えて、「いや」と答えた。
教授は水差しを取り出し、壺の縁までなみなみと注いだ。彼は学生に最後の質問を投げかける。
「僕が何を言いたいのかわかるだろうか」

一人の学生が手を挙げた。
「どんなにスケジュールが厳しい時でも、最大限の努力をすれば、
いつでも予定を詰め込む事は可能だということです」
「それは違う」と教授は言った。

「重要なポイントはそこにはないんだよ。この例が私達に示してくれる真実は、
大きな岩を先に入れないかぎり、それが入る余地は、その後二度とないという事なんだ」
君たちの人生にとって”大きな岩”とは何だろう、と教授は話し始める。
それは、仕事であったり、志であったり、愛する人であったり、家庭であったり・自分の夢であったり…。
ここで言う”大きな岩”とは、君たちにとって一番大事なものだ。
それを最初に壺の中に入れなさい。さもないと、君達はそれを永遠に失う事になる。
もし君達が小さな砂利や砂や、つまり自分にとって重要性の低いものから自分の壺を満たしていけば、
君達の人生は重要でない「何か」に満たされたものになるだろう。
そして大きな岩、つまり自分にとって一番大事なものに割く時間を失い、その結果それ自体失うだろう。

鈴木敏文・セブン&アイ会長辞任の「本当の理由」

子会社のセブン-イレブン社長人事をめぐり大混乱

コンビニエンスストアを産み出し、日本最大の流通グループを作り上げた鈴木敏文氏は、なぜ辞任しなければならなかったのか。鈴木氏本人をして「私以上に私を知っている」と言わしめたジャーナリストの勝見明氏が、その真相を分析する。

■なぜ鈴木敏文氏は世間から誤解されるのか

セブン&アイ・ホールディングスの鈴木敏文会長が辞任の意向を表明した。私はこれまで鈴木氏に数十回取材を行い、鈴木氏の発想法や仕事の仕方、生き方についていろいろな角度から質問し、その暗黙知を引き出し、言語化(形式知化)するという仕事を続けてきた。そのため、鈴木氏本人から「私以上に私を知っている」と評されたこともある。その私から見ると、今回の辞任劇についてのマスコミ報道や世の中の反応には、多分に「誤解」が含まれているように感じる。

鈴木氏の思考法の大きな特徴は、常に未来に起点を置いて発想することにある。過去や現在の延長線上で考えるのではなく、未来に目を向けて、可能性やあるべき姿を見いだしたら、そこから顧みて過去や現在を否定し、目の前の壁を打破して、実現していく。

鈴木氏が未来に目を向けるときは、既存の常識や過去の経験というフィルターは一切通さないで「見る」ため、われわれ凡人には見えないものが見えるのだろう。この「未来に起点を置く」という発想は、過去や現在の延長線上でものごとを考える人々からはなかなか理解されず、その都度、周囲から猛反対にあった。セブン-イレブンの創業も、おにぎりの発売も、セブン銀行設立もそうだった。

■未来が今を決めるのだ。

私が鈴木敏文という人間に強い関心を持ったのは、巨大企業のカリスマ経営者からだというだけではない。20世紀最大の思想家であるハイデガーの「未来が過去を決定し、現在を生成する」「過去が今を決めるのではなく、未来というものを置くことによって、過去が意味づけされ、今が決まる」という考え方を、鈴木氏が経営において実践していることへの共感からだった。

■過去から発想するか、未来から発想するか

鈴木氏はコンビニの経営においても、今どんなに売れている商品であっても、満足のいくレベルに達していなければ、「売れれば売れるほど、セブン-イレブンの商品はこんなレベルかと失望される」と、その商品を店頭から即刻撤去させ、ゼロからのつくり直しを指示する。これも、「過去が今を決めるのではなく、未来というものを置くことによって、過去が意味づけされ、今が決まる」という考え方からだ。

今回鈴木氏が提案したセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長を退任させる案も、まったく同じ発想から出てきたもののように私は感じる。一方で、同社の指名・報酬委員会において社外取締役が「5期連続最高益を実現した社長を辞めさせるのは世間の常識が許さない」と鈴木氏の案に反対したのは、過去の延長線上での発想であった。「世間の常識」は常に過去の延長線上で考えるものだからだ。

鈴木氏は、「この先、顧客のニーズがさらに変化していったとき、井阪氏が社長の体制では対応していくことは難しい」と未来から発想し、社長交代を考えたのだろう。もちろん、この点については井阪氏も「自分には対応する力がある」という言い分や反論もあるだろう。しかしいずれにしても、社外取締役による過去の延長線上の発想と、鈴木氏による未来からの発想では合意に至るわけがなかった。

鈴木氏は井阪氏の退任について、社外取締役の了解を得たうえで、取締役会で決議しようとした。その際、予想外だったのが、創業オーナーからの「NO」の回答だった。これまで創業オーナーは、セブン-イレブン創業も、セブン銀行設立も、本心では反対であっても、「会社の未来」を鈴木氏の経営手腕に託し、信任してきた。その歴史は、鈴木氏が30歳でイトーヨーカ堂へ転職してから半世紀以上に及ぶ。にもかかわらず、今回初めて鈴木氏への信任を拒否したのは、創業オーナーの側で「会社の未来」とは別に優先すべき何かの事情が生じたのだろう。それを、鈴木氏は「時代が変わった」「世代交代」と表現したが、具体的には触れなかった。

■「イオンと合併してもかまわない」

もちろん、井阪社長の退任案について、商品の撤去と生身の人間である社長の退任とは次元が違うという見方もあるだろう。ただ、鈴木氏のもう1つの一貫した考え方は、常に「顧客の立場で」考え、顧客を起点にして発想することにある。そのため、「会社の都合により、顧客の都合が損なわれるようであれば、会社の都合は否定されなければならない」という信念を持つ。

「5期連続最高益を実現したのだから、社長を辞めさせるべきではない」という考え方は、あくまでも「会社の都合」である。顧客が求めているのは、セブン-イレブンの店頭に並ぶより良い商品であって、「5期連続最高益を達成した社長」ではない。もし、「会社の都合」によって、セブン-イレブンの店舗の質を顧客がより満足するレベルに高めていくことが難しくなると判断されれば、「会社の都合」は否定されなければならない。そう考えるのが鈴木氏だ。

以前、鈴木氏は「もしお客様にとってそれが本当に好ましいのであれば、イオンさんと合併してもかまわないんだ」と幹部たちに話したことすらあった。もちろんそんな合併は現実にはあり得ないが、それほど売り手の都合より、顧客の視点でものごとを考えることが大切だと考えていたということだ。

なぜ、セブン-イレブンの1店舗あたりの平均販売額が66万円と、他チェーンに10万円以上の差をつけるかといえば、未来を起点に発想し、顧客を起点に発想して変化に対応することを、40年間にわたって徹底して実行してきたからだ。セブン-イレブンの強みは、その“徹底力”にある。

鈴木氏と次男の鈴木康弘氏(セブン&アイ・ホールディングスの取締役CIO=最高情報責任者)の関係をめぐっては、「世襲」云々も取りざたされた。もちろん鈴木氏は記者会見で言下に否定したが、鈴木氏の発想の仕方からしても、世襲などという「自分の都合」を優先するはずはない。それは、本人の生き方にかかわる問題だ。

■部下に深々と頭を下げて「ご苦労さまでした」

「人間の中には、やるべきことがあったら何としても実現しようとする自分と、己を守ろうとする自分の二面があり、どこで妥協するかで、その人の人生が決まる。私の場合、自分で自分に妥協することができない」と鈴木氏は語っている。それが、鈴木敏文という人間だ。鈴木氏は「目の前の道に木が倒れていて、他の人はよけて通ったり、見て見ぬふりをしていても、自分はそれをどけないと気がすまない。自分でも損な性分だと思うが、それが自分だから仕方ない」とも語っている。今回、自分が辞任することになる可能性があることがわかっていながら、社長退任案を取締役会に諮った鈴木氏の行動は、自分の信念に従ったという意味で、きわめて鈴木氏らしかったと感じる。

いろいろ異論もあるだろうが、以上が「本人以上に本人を知る」人間としての所感である。なお、私は井阪社長とも、商品本部長時代から何度も会い、その実績も、人柄もよく知っているつもりだ。この所感は、あくまでも鈴木氏の判断と行動についてのものであり、井阪氏の経営者としての実力や適性について語ることを目的としたものではないことを付記しておく。

最後に1つのエピソードを紹介しておきたい。鈴木氏は仕事に対する厳しさで知られる。自身が常日頃から言っていることを実行できなかった社員を、きつく叱責するのは珍しくない。報告で質問に答えられなければ、それ以上の発言を認めないこともたびたびある。その厳しさから辞めていく社員もいる。

退職を決めた社員が最後の挨拶に行ったときのことだ。鈴木氏は椅子からすくっと立ち上がり、本人の前に進み出ると、腰を折るように深々と頭を下げたまま、こういって部下を送り出した。

「これまで本当にご苦労さまでした」

その姿に社員は初めてこの経営者の真意を知り、「偉大さ」に気づいたという。厳しく叱責を受けたかどうかは別として、社内にはこの経営者の本質に気づかない人たちもいるだろう。それを含めて、鈴木氏が「不徳の致すところ」と語ったとすれば、その言葉の意味は深い。

ドナルド・キーンの見た日本人像

あいまい(余情)
はかなさへの共感
礼儀正しい
清潔
よく働く

会社をダメにする11の行動様式

CIAのスパイマニュアルに学ぶ「会社をダメにする11の行動様式」

第二次世界大戦時のCIAの秘密資料。敵国内のスパイが、組織の生産性を落とすために、会社をダメにするにはどうすればよいかというガイド。

1.「注意深さ」を促す。

スピーディーに物事を進めると先々問題が発生するので賢明な判断をすべき、と「道理をわきまえた人」の振りをする。

2.可能な限り案件は委員会で検討。

委員会はなるべく大きくすることとする。最低でも5人以上。

3.何事も指揮命令系統を厳格に守る。

意思決定を早めるための「抜け道」を決して許さない。

4.会社内での組織的位置付けにこだわる。

これからしようとすることが、本当にその組織の権限内なのか、より上層部の決断を仰がなくてよいのか、といった疑問点を常に指摘する。

5.前回の会議で決まったことを蒸し返して再討議を促す。

6.文書は細かな言葉尻にこだわる。

7.重要でないものの完璧な仕上がりにこだわる。

8.重要な業務があっても会議を実施する。

9.なるべくペーパーワークを増やす。

10.業務の承認手続きをなるべく複雑にする。

一人で承認できる事項でも3人の承認を必須にする。

11.全ての規則を厳格に適用する。

正範語録

実力の差は努力の差
実績の差は責任感の差
人格の差は苦労の差
判断力の差は情報の差

真剣だと知恵が出る
中途半端だと愚痴が出る
いい加減だと言い訳ばかり

本気でするから大抵のことはできる
本気でするから何でも面白い
本気でしているから誰かが助けてくれる