加賀見俊夫(21)両輪動き出す

世界観の変更 首振らず
TDS施策次々 5年で開花

2001年、東京ディズニーシー(TDS)は無事、開園にこぎ着けた。アトラクション23、物販ショップ32、レストランなど飲食施設33。海をテーマに冒険とイマジネーションで彩った。時間と手間をかけて造りあげた。

「大人も楽しめるテーマパーク」を標榜し、東京ディズニーランド(TDL)と違って一部のレストランではアルコールも飲める。アトラクションやショーの質の高さはTDLと同様だが、パークの異国情緒溢れる雰囲気など、また違った魅力を打ち出した。建築物やアトラクションに最新のハイテクを駆使しているけれど、ゲストをロマンと郷愁の世界に誘うため、わざわざローテクに見せている。

ディズニー社との長きにわたるコンセプトワーク、それを実現させるための創意と工夫。プレオープンを終えた後も、グランドオープンまで細かな改善と微調整を施した。

パークを歩く時は、入り口で入場を待つゲストのみなさんの様子、出口から出るときの表情をさりげなく観察する。長年の習慣だが、ドキドキする半面、楽しくもある。ゲストの笑顔を見ると心が弾む。パークの空気を肌で感じることができるのは、この仕事の醍醐味だ。

私には施設の一つ一つに愛着がある。ヴェネツィアの運河をゴンドラに乗って周遊する「ヴェネツィアン・ゴンドラ」。ゴンドリエと呼ぶ漕ぎ手が朗々と歌を歌う。「センター・オブ・ジ・アース」はフランスのSF作家、ジュール・ヴェルヌの作品の世界が広がるアトラクションだ。TDSの中央にそびえ立つプロメテウス火山の中を地底走行車に乗って探検する。

もう少し紹介したい。「ブロードウェイ・ミュージックシアター」では、格調高い劇場体験ができる。ここでしか見られない本格的な歌と踊りのライブショーを毎日公演中だ。

開園当初、テーマパーク=TDLという確固たるイメージが定着していたことから、TDSの持つ独自の世界観がなかなか浸透しなかった。入場者数は順調だったが、思っていた以上の伸びをみせない。TDLの延長ととらえられることも多かった。世界で唯一の海をテーマにしたディズニーパークとして、時間をかけて受け入れていただく必要があった。

経営会議などの席で「TDSのコンセプトを変えたらどうか」との意見も出た。だが私は頑として首を縦に振らなかった。コンセプトの変更は逆効果だと確信していた。苦労を重ねて創ったから変えないというのではない。トップの経営判断だ。長年パークを見続けてきた私の感性が、そう訴えていた。

「大丈夫。TDLとTDSの両輪は必ず確実に回り始める」と主張した。思った結果が出せなければ会社を辞めるとまで宣言した。本気でそう考えていた。

もちろん手は打った。04年に夜のエンターテインメントを入れ替え、05年7月にはTDS開園後、初めての大型投資となる「レイジングスピリッツ」を導入した。360度ループするローラーコースターだ。そして06年、開園5周年の年に入場者数は2パークで過去最高の2581万人にのぼった。両輪が確かに回り始めた。

(オリエンタルランド会長兼CEO)

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Bubbles of river disappear rapidly.

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