重久吉弘(21)人材再開発

グローバル化 意識促す
公平・鳥瞰 習慣が人を変える

企業が成長するために最も重要な経営資源は間違いなく人である。モノや資金と違って人はそれぞれが意思を持つため難しさがある半面、意欲をうまく引き出し、能力を高められれば大きな可能性を企業にもたらす。社長になって改めて人を育てることを考えるようになった。

当時、すでに日揮は多国籍の人たちをまとめ、世界中でプロジェクトを展開するグローバル企業になっていた。だが、やはり横浜の本社の意識や空気にはグローバル化が不足しているように感じた。人に新しい能力を身につけさせる「人材開発」の方法は研修や実地経験など明確だが、グローバル化にはすでにできあがった社員の考え、意識を変える「人材の再開発」が必要だった。そのためにトップとして私が語り続けたことが3つある。

「マルチ・ナショナル・マインド」。人種、宗教、文化などを理解し、お互いに尊重し合い、卑屈になったり、見下したりすることのないオープンで公平な心を持て。

「ヘリコプター・ビュー」。専門分野に閉じこもらず、高い場所から全体を見渡す視点を持て。「鳥瞰」と同じだが、地上の動きも確認できる適度な高さのヘリコプターで社員に説明した。

「欧州版の地図で考えよ」。日本の地図は日本が中央に来て、ユーラシア大陸が左、太平洋が右に広がっている。この地図が日本人の世界観をある意味で規定している。だが、日揮にとって重要な市場は東南アジア、中東、アフリカ、北米、ロシアからさらに広がる。それらの地域に対し戦略的な視点を持つには、欧州で売っているユーラシア大陸が中央に広がる地図を眺める方がいい。

こうしたことは、単純なことかもしれないが、人は意識的に行動すること、習慣化することで、変化する。それが日揮の人材再開発なのだ。

世界で1万人を超える規模の日揮グループは今や日本人と外国人の比率が半々になっている。1974年にインドネシアにはペルタフェニッキ(現JGCインドネシア)を合弁で設立した。現地の人材の活用が目的だった。

80年代半ば以降の急激な円高で、配管や機器などプラントの詳細設計のコスト削減が緊急の課題となった。日揮は設計のグローバル化を一気に進めた。89年にフィリピンに設立したテクノサーブ・インターナショナル(現JGCフィリピン)はその先駆けとなった。

なぜフィリピンか、と問われれば、まずは英語が不自由なく通じる点、人の勤勉さ、さらに組織への忠誠心があげられる。当たり前だが、世界には優秀な人材は無数にいる。その人たちを見つけ出し、人材開発をすることで私たちにも先方の国にも大きなメリットをもたらす。JGCフィリピンは今では1300人以上を抱えるエンジニアリング会社に成長、マニラに10階建ての自社ビルを構えている。

サウジアラムコの求めに応じて設立したサウジアラビアのJGCガルフ社は800人、JGCインドネシアは800人、さらにシンガポールには700人、アルジェリアに400人、ベトナムに200人などグローバルに人材を育成、戦力化している。日揮の力はグローバルな人材にある。

(日揮グループ代表)

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