フィリップ・コトラー(24)世界の教え子たち

「より良き社会」を先導
キッザニア開設や財務大臣に

今日はクリスマスだ。子どもたちは今朝、目が覚めたら枕元にプレゼントがあっただろうか。

私には世界中に教え子がいる。そして、その子どもたちは卓越した才能を発揮し、より良き社会の実現を目指して活躍している。

その中の一人がメキシコ人のハビエル・ロペスだ。彼は日本の子どもたちにも人気のある職業経験型テーマパーク「キッザニア」という革新的なサービスを生み出した。子どもが楽しむ場所としてはディズニーランドがあるが、両者には大きな違いがある。ディズニーランドは子どもたちに楽しさを届けるのに対して、キッザニアは楽しさと学びを提供するのだ。

キッザニア誕生はハビエルの知人が彼に話した「楽しい託児所があれば」という言葉がきっかけだったという。金融コンサルタントなどを経て1999年にメキシコ市郊外の商業施設にキッザニアを立ち上げた。病院、ホテル、銀行、テレビ局、警察署、消防署、裁判所、料理学校、モデルスタジオなど様々な職業体験を楽しむ子どもたちの笑顔を私も見た。

そしてハビエルはこの施設の目的について目を輝かせて説明してくれた。

「遊びながら仕事を体験させることだけでなく、子どもたちが生活する上で理解すべき5つの重要なテーマについて意識を高めてもらうためだ」と言う。水の大切さ、選挙によって政治家を選ぶ民主主義の義務、自動車の運転に必要な慎重さ、環境に優しいリサイクルや再利用の仕組み、そして体の不自由な人やお年寄りを尊重し、多様性を認めることだ。

ここを訪れた子どもたちは優れた市民になるだろうし、貧困層や身寄りのない子どもたちにもこうした経験はとても重要だ。有能で賢明な子供たちが育っていくだろう。

もう一人はタイにいるソムキッド・ジャツスリピタクだ。彼がタイの有力一族の出身であることを知ったのはずっと後のことだが、私のもとですばらしい貿易論文を書き上げると「母国の学校で教える」と言い、戻っていった。90年代前半のことだ。

数年たち、彼から電話をもらった。「学術の世界にとどまるか政治の世界に進むべきかアドバイスが欲しい」。彼の人格と知識をもってすればタイにすばらしい貢献ができると思ったので「政治の世界で頑張れ」と背中を押した。

彼の動静が気になっていたが、しばらくして今度はタイの新聞記者から電話が来た。彼が財務大臣に就任することについての質問だった。「専門が財政ではなく、マーケティングであることに問題はないか」だった。こう返答した。「大抵の財務大臣は失敗する。タイが世界で初めてマーケティングの博士号を持つ彼を大臣に任命したのは賢明だ」

彼はその後、屈指の財務大臣となり、タイを引っ張っていった。村ごとに国内外に誇れる主要製品を持つ「一村一品」を推進したことが印象に残っている。その後、副首相にもなり、今は学界に戻り、優秀な生徒を私のところに送り出してくれている。

より良き社会を実現するために奮闘する教え子たちの姿。私のようなビジネススクールの教員にとってこれほど誇らしいことはなく、そうした便りが何よりのクリスマスプレゼントだ。

(マーケティング学者)

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