和田勇(26)環境未来宣言

持続可能社会築く責任
消費エネルギー削減で目標

「住まいは生態系の一部であり、家族にいちばん近い地球環境である」。1999年、積水ハウスは「環境未来宣言」を発表し、すべての企業活動の基軸に「環境」を据えると社会に約束した。

97年に京都議定書が採択され、二酸化炭素(CO2)削減など環境問題への関心が高まっていたが、住宅メーカーの意識は省エネや太陽光発電への取り組み程度。企業活動そのものからの具体的なアクションは見られなかった。

「住宅メーカーが何を大層なことを」。そんな声も聞こえてきた。しかし私は、家族とともに何十年も先までこの地球上に存在する住まいが「環境」に目覚めることで、社会に将来、大きなプラスを与えると考えていた。

「住まいを変えて、社会を変える」。私は「未来責任」という言葉を繰り返し口にした。住まいづくりは今日明日のことだけを考えていてはいけないということだ。

とはいえ、環境保全型企業への転換は簡単ではない。住宅業界は建築資材をはじめ資源消費型産業だ。日々の生活にも多大なエネルギーが必要だ。日本では住まいは古くなったら建て替えるという意識も根強い。環境未来計画では、住宅の建築から廃棄までの消費エネルギー、廃棄物削減の目標を設定。社会資本としての耐久性向上を強調した。

環境面の社会貢献活動にも積極的だ。地域の気候風土に適した樹木を庭に植える「5本の樹」計画もそのひとつ。3本は鳥たち、2本は蝶たちのために。その数はすでに1000万本近くになる。

この木々に多様な生き物が集まり、庭が小さな里山になる。点から線へ、面へ。まち全体が郊外の自然とつながり、あらゆる生き物たちが喜ぶ生態系を再生させるのだ。

本社のある大阪・梅田の「新梅田シティ」には、「新・里山」を誕生させた。夏休みごろには棚田に水生昆虫が集まり、夕方からはカエルの大合唱。日本人の原風景が都会の真ん中に現れたわけだ。

「今の子どもは、お茶は最初から飲み物だと思っているんです」。そんな話を聞いて、すぐには意味が理解できなかった。茶畑も茶葉も知らない子どももいるらしい。お茶といえばペットボトルなのだ。そこで、茶摘みの体験もできるようにした。

田植え、稲刈り、野菜の収穫……。里山は食育の基本を学ぶ場にもなる。将来のサステナブル(持続可能)社会を支えていくのは、自然の素晴らしさ、その恵みの尊さを知った子どもたちにほかならない。先ごろ、「新・里山」に絶滅危惧種のミゾゴイという渡り鳥の飛来が確認された。世界に1000羽ほどしか生息していない幻の鳥らしい。人知の及ばない自然の営みを見守り続けたい。

こうした取り組みが認められて2008年、環境省から「エコ・ファースト企業」に認定された。商品開発も進化を続けている。生活時のエネルギー収支ゼロを目指す「グリーンファーストゼロ」が戸建住宅の受注比率の5割を超えた。先進の省エネ、創エネ性能を備えた従来の環境配慮型住宅を加えれば8割以上が環境配慮型になっている。

環境をテーマにした「未来責任」。住まいやまちなみは歳月の経過とともに美しくなる。「経年美化」という新しい考え方も訴え続けている。

(積水ハウス会長兼CEO)

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Bubbles of river disappear rapidly.

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