宮内義彦(23)経済同友会

政策に提言、やりがい
多くの論客と討議、勉強に

オリックスは金融から離れた事業にも一歩踏み込んだ。この事業には特定の分野に打ち込み専門性も高いプロを育てなければ成功しない。例えば旅館、ゴルフ場、コンサート、水族館のプロだ。いま社内には環境、新エネルギー、廃棄物などの分野でもプロを必要としている。今のところグループのごく一部にしかすぎないが、いつの日か大きく花開いてほしい。いずれにせよ決め手は専門性と実行力だ。

直近の新しい動きはオランダの資産運用会社ロベコ社を約2500億円で買収したことだ。金額はこれまでのM&Aで最大。重要なのは同じ金融分野とはいえ、手数料収入で利益を得ることである。新たな挑戦が始まる。

これまでオリックスはビジネスモデルを変えながら成長してきた。それもあって創業直後の第1期を除き黒字経営を続けてきた。これからはもっとスピードを上げ、世界の流れに遅れてはならない。要は柔軟に変われる体質を維持することだ。

オリックスの成長に没頭していた身にとって、50歳になった1985年はひとつの転機だった。乾恒雄会長に経済同友会への入会を勧められたのだ。それまでは金融業の経営者の目でしか、世の中を見ていなかった。わたしの視界をぐんと広げてくれたのが、同友会で出会った経済人たちだ。

入会したときの代表幹事は石原俊日産自動車会長。次は速水優日商岩井会長。この時期はたくさんのことを学ばせていただいた。その次の代表幹事、牛尾治朗ウシオ電機会長が提唱された「市場主義宣言」には強く共鳴した。

わたしは94年度に副代表幹事に就任し、10年にわたってその職にあった。国のかたちや政策の勉強をかさねて提言すると、その内容が政策当局に直接届くような影響力があったし、多くの論客と知り合うことができた。永野健、品川正治、今井敬、椎名武雄、諸井虔、小林陽太郎、茂木友三郎さんらとの討議はどれだけわたしにとって勉強になったか、はかり知れない。

コメ政策のあり方について報告書が出ると、農相が記者会見で「待った」をかけようとする。教育改革を提言したときには同友会に文相が乗り込んできたこともあった。そうか、経済界の存在意義はこうしたところにあったのか。公に役立つことは誰であれ務めるのは当然だ。しかしそれにはしっかり勉強し、自らの考えを持たねばならない。

印象深いのは副代表幹事だった中村金夫日本興業銀行元会長の音頭で始めたコーポレート・ガバナンスの勉強会だ。じっくり討論するために浦安のホテルで合宿し、企業統治について真剣に議論した。この活動はわたしが会長をつとめている日本取締役協会に引きつがれた。社外取締役の意義を広めるのが使命だが、その歩みは遅々としており、世界の趨勢より一周遅れになってしまっている。

いつの間にか多くの時間を社外活動で費やすようになった。それは自己研鑽の場であるか、公共性のあるお役目の場であるか。意味のある時間だが、といって直接社業とはかかわりがない。バランスをどうとるか。牛尾さんに聞いたら「極意はフィフティー・フィフティーだよ」。その教えはいまも守っている。

(オリックス会長)

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