宮内義彦(18)採用拡大

女性総合職、いち早く
熟年や外国人にも門戸

オリックスは外からみると厳しい会社に映るようだ。社員が一番よくわかっているはずだが、そうした会社評は当たらないと思う。温かく人間味ある組織であってこそ前向きの事業展開ができるのだ。

1980年代、日本経済はまさに上げ潮路線をひた走っていた。それはオリエント・リースにとって強い追い風だった。待っていたのはバブル経済の崩壊だが、その頃は知る由もない。わたしは突き進んだ。40代の社長は恵まれた経営環境に身をおいていた。

社業の拡大がつづき、社内は人手不足が常態化していた。新卒者の定期採用だけではとても間に合わず、中途採用を増やした。中途組の即戦力は業容の拡大にプラスだ。それでも会社の成長にとても追いつかない。そこで、次にしたのは女性の採用の積極化だ。もちろん、お茶汲みとしてではない。男性と同じ立場で働いてもらうためだ。

最初に四年制の大卒女性が総合職として入ってきたのは82年。男女雇用機会均等法の施行がその4年後だから、世の流れを先取りしていた。出産・育児の休業制度を取り入れたのも、88年と早いほうだ。しかしはじめは抵抗に遭った。まず社内。営業セクションなどの課長らが「ウチの部署に女性はいらない」と言ってくる。社外からは「なんで女性を営業によこすんだ」。

女性を軽くみる空気が強かった時代といえばそれまでだが、成果を出す女性社員はいたし、その数は着実に増えていった。悔やまれるのは、機会均等を早く実践したにもかかわらず女性の役員がいまだにいないことだ。総合職として入っても、結婚や出産・子育てなどを理由に辞めてしまう社員が意外に多かった。

「これは」と思っていた人が辞めるのは、かえすがえすも残念だった。もっとも、一歩手前のところまできた人も出ている。女性役員の誕生はいまから楽しみだ。

転勤がない総合職の社員も働いている。転勤ありの社員より給料はいくぶん低いが、女性には希望者が多い。安倍政権が規制改革で導入しようとしている限定型正社員のはしりといっていいだろう。

94年には熟年採用を始めた。例えば地方銀行の退職者をその地域の支店に来てもらって人脈や経験を生かして営業などで即戦力を発揮してもらう。外国人も採用し国籍も多彩だ。老若男女、国籍を問わず、多様性を尊重すれば新しい知恵が出る。今でいうダイバーシティー経営で、「キープミクスト」と称している。

海外展開も必要に迫られて、いつの間にか独自のものが生まれている。事業のほとんどはその国のローカル市場が相手であり、日本との関わりは薄い。したがってオリックス・マインドを身につけたローカル人材にできる限り任せるのだ。日本人の社員は前に出ず、現地方針のガバナンスに徹する。日本人が米国やアジアの地元金融市場でネットワークを作り上げるのはなかなか難しいというのが、これまでの経験から得た結論だ。特にウォール街で勝負する米国ではその傾向が強い。

サウジアラビアやドバイなどペルシャ湾岸の市場開拓はオリックス・パキスタンの現地役職員にお願いした。イスラムにはイスラムのやり方があると考えたからだ。オリックスは湾岸諸国でユニークな地位を築きつつある。一味違う国際化の今後が楽しみだ。

(オリックス会長)

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