大道芸の衣装 ピーター・フランクル(2)

ド派手なパジャマ、笑顔呼ぶ

「こんにちは、ピーターでーす」。街角で、後ろ向きになってお辞儀し、お尻をヒョイッと突き出す。衣装には、お尻のところに「ぴ」「い」「た」と大きな飾りが付いている。集まってきた人たちが、自然と笑い出す。

この衣装は大道芸を本気で始めた1989年ごろにこしらえた。実はこれ、ただのパジャマだ。友達に飾りだけ縫ってもらった。バブル真っ盛りで日本全体が明るかったから、百貨店ではこんなド派手なパジャマをいくらでも売っていた。

前年、僕は勤めていたフランス国立科学研究センターから2年間の予定で日本に派遣されてきた。すでに何回も短期滞在して日本にぞっこんだったので、2年が過ぎても、ここで暮らしていこうと決めていた。

研究の合間には、代々木公園で独り、ボールや棒をお手玉する「ジャグリング」の練習に励んだ。高校時代からの特技で、いつも試験を受けている感覚で完璧を目指していた。服装も普通だった。ところが、あまりにも明るすぎるバブル全盛の空気に化学反応し、僕の中の何かが変わった。

「なんで歩行者天国でやらないの」。独りで練習していたら、いろんな人が声をかけてくる。歩行者天国では、竹の子族と呼ばれる若者たちが踊っている。僕より下手なパフォーマンスでも拍手喝采を浴びている外国人がいる。楽しそうだった。僕も勇気を出してカラフルな衣装に身を包み、おしゃべりをしながら街頭にデビューしていった。

大道芸は、完璧である必要はない。もし失敗しても、例えば無言で10回腕立て伏せをして、「お仕置きでした」とやれば、笑いがとれる。みんなに笑ってもらえるのが何よりだ。

今、僕は日本各地に呼ばれて数学などの講演を続けている。そんな中でも大道芸を取り入れ、一緒に楽しいひとときを過ごしている。医師で博識だった僕の父は、町の名士で、行く先々で様々な人に声をかけられ、会話を弾ませていた。父はユーモアがあって、話を聞く人たちは笑顔で輝いていた。僕は、父のように、人を喜ばせて生きていきたいと思っている。

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Bubbles of river disappear rapidly.

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