遠征、あえてアジアへ

全日本大学選抜は3月中旬、インドネシアに遠征する。チームの強化を考えると欧州の強国で力を試したくなるが、全日本大学サッカー連盟(JUFA)は例年行っている春の遠征先に今回はあえてアジアを選んだ。

近年、Jリーグ勢はアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)で早期敗退を繰り返している。選手たちはアウェーの地で気候、風土、食事の違いやピッチコンディションの悪さに苦しむ。

プロ入りしたら、所属クラブでも代表チームでもアジアでの戦いを強いられるのだから、学生のうちに厳しい環境での試合を経験させておこうとJUFAは考えた。

バスで地方都市を巡り、昨年、C大阪がACLで戦ったアレマ・インドネシアなどと3試合をこなす。インドネシアではサッカーが大の人気で、日本の学生との試合でも1万人は集まりそうというから、アウェーの雰囲気を経験できる。

しかし、この遠征はそうしたチームの強化だけを目的としたものではない。学生選抜の選手でも、全員がプロになれるわけではない。多くは社会人として世に出て、企業などで働く。

「だからこそ、学生たちにアジアを知り、視野を広げ、国際感覚を身につけ、日本がアジアでどう見られているかを感じてほしい」とJUFAの高橋建登事務局長は話す。「移動のバスからバラックが目に入る。街を歩けば、物売りの子どもたちに言い寄られる。そこで感じたことを大事にしてもらいたい」

遠征中には、インドネシアの子どもたち100人を集めて、サッカー教室を開く。中古のボールをプレゼントして、学生が指導に当たり、子どもたちと触れ合う。この遠征は楽ではないだろう。しかし、たぶん、欧米の先進国への遠征では得られないものが手に入る。

(フットボールの熱源・吉田誠一)