トニー・ブレア(27) 小泉首相

改革者として共通点
公共部門のあり方を議論

私は首相在任中に日本の首相と良い関係を築いてきた。ただ一つの問題は、知り合いになったかと思うとすぐに交代して新しい首相がやってくるということだった。その中で最も印象に残っているのが小泉純一郎首相だ。小泉は他の首相に比べ長い期間にわたってつとめ、その間は日本のリーダーシップが安定した時期だった。

小泉は私が政治の世界で会ったなかでも最も興味深い人物のひとりで、それまでに会ったどの日本人政治家とも違っていた。とても快活で、並外れた個性の持ち主だった。

2005年のグレンイーグルズでの主要国首脳会議(G8サミット)。女王主催の首脳晩さん会でのことだ。

その数日前にシラク仏大統領が英国料理について不用意な発言をしたと報道され、話題になっていた。彼が、プーチン・ロシア大統領とシュレーダー独首相に「料理がとてもまずい国の人間は信用できない」という趣旨の発言をしたというのである。シラク自身はそんな発言をした覚えはないと否定していた。

晩さん会が始まり、コース料理の最初の一品を腹に入れた小泉は、つかえつかえの英語で大声でシラクに言った。「ヘイ、ジャック。素晴らしい英国料理だ。そう思わないかい?」。笑いのどよめきが起こった。シラクは少し意地の悪い視線を小泉に向けたが、その悪ふざけに加わらざるを得なかった。そしてエリザベス女王に向かって、自分は報道されているような発言をしていないと釈明した。

「何を言ったんですって?」。いきさつを知らなかったのは女王だけで、事の次第を初めからもう一度説明することになった。気をよくした小泉は、その後も料理を一口食べるごとに、その素晴らしさをやかましくコメントした。最後にはシラクが副官の銃をつかんで小泉を撃つのではないかとひやひやしたほどだ。

小泉は9・11後に我々が置かれた困難な状況も理解してくれた。私たちは公共サービスの改革者という共通点があり、改革の必要性についてよく話した。21世紀における企業、国家、個人の課題に対応して、どうシステムを変えるべきか。どうすれば永続的な変革ができるのかといったことを語り合った。

彼も出身政党内の反対勢力と戦ったが、現代の指導者は自らの出身政党を超越しなければならないこともある。現代政治で奇妙なのは、大衆の多くは中道の政策を求めているのに、政党は党派色を強めていることだ。政党には様々な既得権益を持つ支持者がいるが、そうした利益集団は公共の利益を代表していない。

私は日本を訪れるたびに楽しんだ。特筆すべき文化があり、日本にいるときにはいつも「世界で最も違う場所に来た」と感じた。日本の人々も食べ物も好きだ。

昨年の東日本大震災という非常に痛ましい出来事への日本国民の対処の仕方についても尊敬の念を抱いている。国全体を打ちのめすような一連の出来事にも負けず、日本国民は立ち上がり、復興に動き始めた。

私は日本が世界で大きな役割を果たしたいと希望を持っていることを知っている。経済面だけでなく地政学上の観点からも日本の重要性を認識している。日本も、他の多くの国と同様に、必要な改革を進め、国をさらに開放する決断がなされるという期待もしている。(元英首相)

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