ニッポンの企業力「ガラスの天井」壊せ

国籍不問、世界にライバル
人財を生かす

中国の北京と上海で11月、来夏に卒業を控えた清華大学など一流大学の4年生と、日本企業の「集団面接会」が開かれた。企画したのはリクルート。日本からNTTや京セラ、花王、三菱商事など42社が参加した。

就職活動から世界との競争は始まっている
中国人採用に殺到

「志望動機は?」
「自分の力が海外で通用するか、御社で試したい」
面接に来た中国人学生1000人の多くは英語はもちろん、流ちょうに日本語を操る。4日間で約150人に内定が出た。
中国の大学1学年の人数は700万人と日本の10倍強。リクルートは1万人の応募者の中から日本企業の求人に適した学生を事前に絞り込んだが、中国も就職難。優秀な人材には事欠かない。「将来、現地法人の経営を任せられるような幹部候補を採りたい企業が殺到している」。リクルートのアジア人材事業責任者、伊藤純一(46)は話す。
2020年に本社社員の半分を外国人に――。イオンは今年、こんな目標へ大きく踏み出した。大学新卒採用の説明会は国内で1回のみ。あとは海外行脚に費やした。来春の採用内定者は2000人のうち400人が外国人だ。
同社は今年度以降、北京に中国本社、クアラルンプールにアセアン本社を順次設立し出店を加速する。グループ人事最高責任者の大島学(47)は「海外では日本のイオンの常識は通用しない。国籍や性別を問わず、現地法人にはその国情に精通した人を増やす」。今年6月にはマレーシアの現地法人トップに生え抜きの女性社員、メリー・チュー(50)を抜てきした。
海外に拠点を築いても日本人が幹部ポストを占拠していた日本企業。生産拠点ならコストを削減できても、商慣習やニーズの異なる消費市場の攻略には通用しない。日本人しか昇進できない「ガラスの天井」を壊し、現地の優秀な外国籍社員を取り込めるか。製造業でも改革が始まった。

「このポストには本当に日本人が必要ですか?」

日立製作所グループの白物家電子会社と日立建機は今年、海外拠点幹部の総点検を始めた。販売競争が激しい新興国を中心に、報酬と成果をもとに最適人材を配置するのが狙いだ。
日立は今年、37万人の連結社員の人事をデータベース化し、課長級以上の評価の格付けを統一した。「地域やプロジェクトに応じて世界中から最もふさわしい人を選ばないと海外勢に対抗できない」。社長の中西宏明(65)は語る。
米IBMや米P&Gなどは1990年代から本格的なグローバル化を推進。優秀な現地社員は世界で情報を共有し、幹部に登用する仕組みが浸透している。行き着く先は経営陣の多国籍化だ。スイスのネスレは9カ国の人材で構成する。こんな仕組みがない限り「日本企業に優秀な社員は来ない」。スイスのビジネススクールIMDの教授を兼任する一橋大大学院教授の一條和生(53)は断言する。

日本を鍛え直す

ライバルは世界中の同僚。それは日本人というだけで昇進が保証される時代の終わりを意味する。
フィリピンやオーストラリア、ブラジルなど07年から1兆円超を投じてビールや食品など海外企業を買収してきたキリンホールディングス。常務の小川洋(56)は「国際感覚に優れた人材育成が急務」という。
中堅社員を選抜し英語で1年間、企業経営を学ぶ研修を3年前から始めた。卒業生は85人。今春には海外に11人派遣した。東南アジア統括会社で販売戦略部長を務める佐藤哲彦(40)もその一人。国内営業畑が長く英語も不得手だったが、今では買収企業との連携に奔走する。「キリンは日本で有名でも海外では無名。成功するまで帰らない」
社長の三宅占二(63)は「外国人から刺激を受け、内なる国際化を進めることも必要」と指摘する。切磋琢磨(せっさたくま)がニッポンの企業力を高める。

(日本経済新聞朝刊1面)

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