ウィリアム・J・ペリー(29)四賢人

「核なき世界」共同論文
オバマ大統領「最重要課題に」

「これ以上の助言者は考えられない」――。

米国の首都・ワシントンDCの中心部にあるホワイトハウスでオバマ米大統領はそんな言葉をもって、私を含めた4人を紹介した。2009年5月19日、私と共にオバマに招かれたのはレーガン政権で国務長官を務めたジョージ・シュルツ、ニクソン政権で国務長官などを歴任したヘンリー・キッシンジャー、そして議会・民主党で安全保障問題の専門家として活躍したサム・ナン元上院議員である。

この約1カ月前の4月6日、オバマは東欧・チェコの首都プラハで「核のない世界」をテーマとした
外交演説を行っている。その毅然とした姿に世界は賛辞を贈り、やがてオバマにノーベル平和賞までもたらすことになる。

共和、民主両党から超党派のグループを結成していた我々はこの頃、米国内外で核全廃を主導する4賢人」と呼ばれるようになっていた。きっかけとなったのは、07年1月に米紙に掲載した「核兵器のない世界を」と題した意見論文である。

「核廃絶の可能性に言及したレイキャビクでの米ソ首脳会談から今年で20年になる。この機会にあの会談の『意味』を検証できないだろうか……」

06年9月、スタンフォード大学キャンパスの一角で私は2人の外交専門家と夕餉(ゆうげ)を共にしていた。そのうちの一人、シュルツの発言に私は即座に共鳴。この問題について、専門家会合を開いた後、私はその論点をまとめた意見論文を発表することにした。

この時、シュルツが1つだけ、注文を付けた。当時、専門家会合は旧ソ連の核兵器に関する安全管理を支援する「ナン・ルーガー法」を導入したサム・ナン元上院議員など民主党員が多数派だった。これに対して唯一の共和党員だったシュルツが「意見論文は超党派の形にしたい」と主張したのであ。

しばらくして、シュルツが白羽の矢を立てた人物、すなわちヘンリー・キッシンジャーが私の目の
前に現れた。私から見て、彼は「リアル・ポリティーク」を信奉する超現実主義者であり、核廃絶の
ようなテーマに真剣に取り組むタイプには思えなかった。実際、キッシンジャーが当初、提示した条件は「意見論文の共同執筆者になるだけ」というものだった。しかし、その反響の大きさを見て、彼はそのままメンバーとして残ったのである。

核廃絶という壮大な目標を掲げた我々の論文に対して、ひと際前向きな反応を見せたのが08年の米大統領選への出馬を決めていたオバマだった。冒頭に紹介したホワイトハウスでの会合でも彼は手元にメモなど用意せず、核廃絶について自らの考えを滑らかに口にした。それだけでなく、米国が直面している主要な外交課題もオバマは細部まで知悉(ちしつ)し、高い関心を寄せていた。

この時、私たちは当面必要とみられる2つの政策をオバマに進言している。それはロシアとの核軍縮を含む「包括的な戦略対話」と日本など同盟国への拡大抑止力維持だった。私たちの進言を受け、オバマは我々にこう明言した。「この問題(核廃絶)は自分にとって4つの最優先課題のうちの1つと位置付けている」

(元米国防長官)
(29)

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