ウィリアム・J・ペリー(25)対中威圧外交

「重大な結末に」強く警告 
中国撤収受け危機終結宣言

中国人民解放軍が東アジアで無謀なミサイル演習を始めたことに対して、私は横須賀を母港とする空母インディペンデンスの部隊だけでなく、その後方に別の空母部隊も配置して、にらみを利かす対抗策に打って出た。

この決定を私が下した時、偶然にもワシントンを訪問していたのが中国の劉華秋・国務院外事弁公室主任だった。私はレーク大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、クリストファー国務長官とともに彼をホワイトハウスに呼びつけ、ミサイル演習について直接抗議するとともに、この対応策も具体的に伝えている。

「もし、あなた方が言うところの『試射』されたミサイルが台湾本土に着弾したら、重大な結末を招くということを忘れないでほしい」
この時、私はそう切り出している。もちろん、中国軍が「目標」である台湾よりも射程を短く設定したことはわかっていた。だが、それよりも十マイルほどまで先に飛んで行ったら、そこはもう台湾なのだ。そのことを伝えた上で、私は彼に「このような無責任な行動」は米中合意違反にあたる、と言い渡した。この間、同席したレークとクリストファーはあえて一言も口を挟まず、私にすべてを託す格好を取った。つまり、彼らは私を即席の「スポークスマン」に仕立てたのである。

とはいえ、その発信相手である劉華秋が属していたのは中国外務省。だから、演習の「当事者」である中国人民解放軍の指導部にまで私のメッセージが浸透するかどうかはわからなかった。

実際、彼は台湾周辺で何が起こっているのか全くわかっていない様子だった。それなのに突然、米国の国防長官から2つの空母部隊を台湾周辺海域に送り込むと告げられ、とても驚いているように見えた。この会談中、彼は専ら聞き役に徹し、私の発する一言、一言を聞き漏らすまいと注意深く耳を傾けていた。

3月25日、中国人民解放軍は18日から台湾海峡北部で実施していた陸海空3軍合同演習を終えた。国営の新華社はこの演習を「成功のうちに終了した」と総括。同日から、同海域と空域への船舶と航空機の立ち入り禁止も解除したと伝えた。

「中国は軍事演習を終え、自陣へ撤収した。危機は今や過ぎ去った、と理解している」

翌26日、私はワシントン市内での講演でそう述べ、台湾海峡危機の終結を宣言した。この時、すでに私は台湾近海に派遣していた空母インディペンデンスに母港・横須賀へ帰還するよう指示を出していた。もう一方の原子力空母ニミッツもその翌週末までには豪州に移動させることを決めている。

あの事件以来、中国は海軍力の増強にまい進するようになっていった。そして、今、中国は南シナ海の南沙諸島だけでなく、東シナ海の尖閣諸島を巡っても領有権を主張。自国の海軍に所属する軍艦部隊を沖縄・宮古島周辺海域で堂々と航行させるなど日本と台湾の周辺海域で軍事プレゼンスを誇示している。

「中国は軍事大国ではあるが、西太平洋地域で最強の軍事力を持つのは米国であることを思い起こすべきだ」

中国が演習を続けていた時、私は米議会でこう述べ、中国軍部を意図的に強くけん制してみせた。もちろん、その思いは今も微動だにしていない。

(元米国防長官)
(25)

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Bubbles of river disappear rapidly.

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