ブブセラの響き 決まらないPK

この大会を通じて最も世界に広く名を売ったのは、ウルグアイのルイス・スアレスということになるのかもしれない。ガーナと戦った準々決勝の延長戦の終了間際、アディエのヘディングシュートを手ではじき出して退場となった反則は、今後サッカーの歴史が続く限り、語り継がれていくものだろう。

あのプレーはウルグアイの勝負に対する執念、したたかさを示すものであり、決めればアフリカ勢初の4強進出というPKを失敗し、PK戦でも敗れたガーナはあまりにナイーブでずぶとさが足りなかった。サッカー界の論調はそういう感じになっている。

スアレスのプレーは悪質で、「手を使ってはいけない」というこの競技の大前提を覆すものである。だからガーナにはPKを与えた。しかし、それを失敗してしまったのだから文句は言えない。サッカーの常識ではそういうことになる。

何事もなければ決まっていたはずのゴールを不正に阻止した場合、攻撃側にPKが与えられる。このルールは「PKとは普通にければ入る」という認識のもとで成立している。しかし、この大会ではPKが当たり前のように決まるものではなくなっている。

準々決勝までにPKは15本(PK戦は除く)あったが、成功したのは9本。世界のトップクラスの選手がけっているにもかかわらず、成功率はわずか60%にすぎない。堅実なドイツのポドルスキも、得点王争いのトップに立つビリャも失敗。準々決勝のスペイン―パラグアイ戦では両チームの選手が相次いで失敗する珍事が起きた。1大会で6本の失敗はすでにワールドカップ(W杯)史上最多となっている。

W杯という大会が様々な意味であまりに大きなものとなったいま、PKをける選手に掛かる重圧がとんでもなく重いものになっているということなのだろう。あるいは、試合会場の多くが高地にあり、おかしな変化をする公式球の扱い方を選手がつかみきれていないということでもあるのだろう。シュートの制御が利かず、FKが直接決まるシーンが減っていることと関連する問題なのかもしれない。それともブブゼラがうるさくて集中できないということなのだろうか。

いずれにしても、まず間違いなく決まるという前提で与えられているPKが決まらなくなっている。残り時間が少ない場合、結果的に反則のやり得ということが起こるわけだ。

成功率60%となると、スアレスのハンドのような決定的なケースでは、PKを2本与えて、1本外しても再チャレンジできるというふうにしないと釣り合いがとれないのかもしれない。もし、そういう規則改正が行われた場合、たぶん、それは「スアレス・ルール」と呼ばれることになる。

(吉田誠一)

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