2005年、景気は悪くなる – 堺屋太一

4年ごとの大失敗の年

2004年は、事件、事故、災害は多かったものの、経済に与える影響は軽微ですみ、全体的には景気回復にわいた一年だった。さて、2005年はどうなるか。小淵内閣、森内閣で経済企画庁長官を務めた堺屋太一氏が、2005年の景気を予言する。

---2005年の景気をどう読む。
景気はかなり悪くなるだろう。過去、大臣クラスの政府関係者で、「来年は景気が悪くなる」と明言した人は、戦後では私一人しかいないだろう。経済企画庁長官だった2000年の暮れ、「来年は二番底になる」と申し上げた。ところが、私のあとの内閣は十分な景気対策を欠き、2001年は大不況だった。今の状況は当時に似ている。2000年の年末も圧倒的多数が「減速しながら緩やかに上昇する」と言っていた。私だけが「二番底だ」と言った。「減速しながら上昇する」というのは、「自分は投資をやめるけれど、世間はやめないだろう」と言っているようなもの。あまり信じられない状況である。

---2004年を振り返ると?
米国の好景気、中国の高成長、日本の設備投資、そして日本の消費ブームの四つが景気を支えた。だが、この四つのどれもが危ない。
まず米国は、親子の赤字が拡大してドル安が進行している。このドル安は高金利につながる恐れがあるから、米国政府も親子の赤字抑制政策を採らざるをえない。そのため、米国経済は減速する。
次に中国経済は完全に過熱気味。じつは奇妙なことに、世界的に工程分業が進むなか、労働集約的な工程が先進国に集まり、資本集約的な工程が、人件費の安い中国や東南アジア、東欧で増えている。
中国の最新工場は、コンピュータ制御のため人手がいらない。そのため、7%成長でいなくなると思われていた失業者が9%成長でも解消しないという状況に陥っている。政府は設備投資の引き締め政策に転じているが、元高の予測があるから外資の流入が続き、引き締め効果は上がっていない。一般的に北京オリンピック、上海万博まで中国の景気は安泰といわれているが、2005年は調整期間になるだろう。1964年に日本が、83年には韓国が、97年に東南アジアが経験したような、短いけれど深い調整期間になる。

---日本国内は?
設備投資は、シリコンサイクルが低下しており、息切れ気味。非製造業の投資は出てきていないし、東京以外では住宅投資も少ない。
最後に国内の消費だが、小泉内閣のゼロ金利政策は、預金者の犠牲によって銀行を儲けさせるという事態を生んだ。その結果、銀行の不良債権は減ったが、家計の現金収入はマイナスになってしまった。これで物価が上昇すれば、国民的忍耐を超える問題となる。

---そこへ加えて増税。そして医療保険、介護保険などの増徴だ。
これは危ない。本当は2004年に増税すべきだった。日本政府はいつも財政を改善しようとすると不景気に突き当たる。97年の橋本内閣、2001年の小泉内閣と、4年ごとに大失敗しており、2005年はその順番になりそう。

---2005年は万博がある。
大阪万博のときは日本全国が盛り上がって好景気になった。しかし愛知万樽は、中部地方以外ではあまり知られていない。だから景気も中部地方にとどまっている。

---それは時代の違いなのか。
それもあるが、やり方にも問題がある。官僚だけでやろうとするから、想像に飛躍がない。全国を対象とした企画もほとんど拒否した。私が提案した一万平方?の広さのテレビ「ヘクタールビジョン」が実現していたら、今頃、全国でそうとうな話題になっていたと思うが……。

堺屋太一

1935年大阪生まれ。60年東京大学経済学部卒業後、通商産業省入省。
日本万国博覧会などを手がける。78年に退官、執筆・講演活動に入る。
98年7月より小渕内閣、森内閣で経済企画庁長官を務める。

週刊ダイヤモンド2004/12/25・2005/01/01新年合併号

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Bubbles of river disappear rapidly.

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